OLD VISVIM NEVER DIES

下ろしたての靴はすぐに右足で左足を、左足で右足を踏んでしまう。髪を切った日のような、どこかしっくりこない感じをなくしたくて。気に入ったブーツは雨の日でも、車を洗う時でも、どんな環境でも気にせず履いているし、汚れても気にしない。たまにブラシをかけたり、紐を交換したり、そのうち自然と自分の足に合ってくるし、レザーもだんだんと馴染んでくる。長く使えば使うほど、自分自身のキャラクターが反映されていくのを感じて、愛着が湧いてくる。そういう物を持っているということが嬉しいし、そういう物自体にすごく魅力を感じます。

プロダクトをデザインする時、長く付き合っていける物、長く楽しめるような物がどんな物なのか、そんなことを思いながら素材や染色の方法、コンストラクションを考えます。例えば、デニムは履いていくと色が落ちていくけれど、色の落ち方は使っている人の環境や履き方によって違ったりします。植物タンニンで鞣したレザーもそう。気温や湿度、太陽の日差しなど、使っている人の環境の影響を受けやすい素材で、だからこそ使っている人のキャラクターが反映されて、すごく人間的になっていきます。その変化が美しい。ボク自身、そうやって変化していく物を見ることが楽しみで、作り手として、喜びを感じる瞬間でもあります。

2023.2.14 Republished with revisions

2022.11.28 Republished with revisions

2016.4.26 Original work published