Dissertation
Social Sculpture Denim / ソーシャル・スカルプチャー・デニム
デニムは大好きなモノの一つ。もともと、ファッションに興味を持ったきっかけとさえ言えるかもしれない。今でも、ボクのワードローブの重要なパートの一つで、毎日のように着ています。
Category: | Products |
---|
Date: | 2014.12.09 |
---|
Tags: | #denim #socialsculpturedenim #visvim #デニム |
---|
デニムは大好きなモノの一つ。もともと、ファッションに興味を持ったきっかけとさえ言えるかもしれない。今でも、ボクのワードローブの重要なパートの一つで、毎日のように着ています。
「本物のジーンズ」と初めて出会ったのは、たしか14、5歳の頃。日本でヴィンテージデニムが流行る少し前だったと思います。そのころ市場に溢れていた大量生産のジーンズに比べ、丈夫で強く、色濃いキャラクターと温もりのあるジーンズ。ボクは友人と行った原宿のヴィンテージショップでそのLevi's XXを見つけました。自分のお金を洋服に使ったのはその時が初めてで、当時のボクにとってはけっこう高かったのだけれど、その一本は他のものと何かが大きく違っていました。色、テクスチャー、、、何が違うのだろう?と不思議に思っていました。80年代、日本でヴィンテージデニムが流行っていた時も、その違いについて考え続けていました。ジーンズに惹きつけられる、その根本には何があるんだろう?ボクはその答えが知りたいと思い、いろいろなアプローチで調べ始めました。
アメリカのデニムは元々オーバーオール、ジーンスなどのワークウェアに用いられました。綿100%の綾織り生地は、心地よく、丈夫で様々な衣服に適していました。染色された縦糸、白い横糸という他の綾織り生地とは異なるユニークな構造は、丈夫さだけでなく、コントラストの強い色落ちと、縦方向の不揃いな表情をもたらしました。
もともとワークウェアに用いられたデニムは、決して高価なモノではありませんでした。また、いまのデニムは、現代の技術によって均一な糸で作られていますが、50年、100年前のデニムはザラザラした不均一な糸で作られていました。もちろんこれは意図的なものではなく、当時はそうした不均一な糸しか手に入らなかったからですが、そもそもきれいに揃った均一な糸は、ワークウェアには必要とされませんでした。不均一な糸を使うことは、1点1点少しずつ違うユニークなデニムが作られるという効果をもたらします。これは現代の均一な糸で作られたデニムでは再現されなかったことです。
最も分かりやすいデニムの特徴は、深いインディゴのカラーです。ジーンズはアメリカで生まれたものですが、インディゴ染めはそうではありません。日本や東南アジアにも長い歴史や伝統があり、ジーンズが作られるようになる前から用いられていた染色方法でした。ドイツで合成インディゴが発明される前、世界中のインディゴ染めはすべて天然染色で、それぞれの国で原産の植物を使い衣服を染めていました。日本や東南アジアのヴィンテージサンプル、天然藍染の特徴からインスピレーションを得て、現代の技術と染色を活かした温もりのあるモノを作れないだろうかと模索していました。
デニムの魅力が何なのか、まだ、具体的に答えるのは難しいです。他の生地に比べて、生地の重さや張力などの計測できるようなことだけでなく、感覚的なことが重要で、惹きつけられる理由はそのモノに意味があるからなのかもしれません。以前から機能的な衣服、ワークウェアやミリタリーなどに興味があって、それはきっと見た目ではなく、何かのために作られたモノだから。
重要なのはコンセプトを持つこと。コンセプトを持ってプロダクトをデザインすることと、見た目を単純にコピーすることとは、まったく異なる結果をもたらします。「Social Sculpture Denim」のすべてのディテールは、そのためだけにデザインされています。カラー、糸、リベット、ボタン、2色のステッチ_糸、本藍染の鹿革パッチ。すべてにはっきりとした目的があり、「意味」を形にしたものです。
デザインする時、ボクは自分をプロダクトに投影します。そうして生まれたデニムは、ボク自身が最も履きたいと思うデニムで、それは、もともと思い描いていたオーセンティシティと、世の中のニーズに忠実であり続けることが形になったモノです。デニムは持ち主の人生をたどり、その人のキャラクターを写し、履けば履くほど愛着が湧きます。「Social Sculpture Denim」はヴィンテージの知識と膨大な開発時間をパッケージにしたモノ。お店からデニムを持ち帰る時、そのデニムの歴史はそこから始まります。