F.I.L. GINZA

Oct 8^th '23 Grand Opening

銀座の北の外れ、昭和通り沿いに昭和7年（1932年）に建てられ、90年以上経ったいまでも当時のままの姿で佇む小さなビルがあります。界隈では、こうした空襲を免れた戦前の建物はもうほとんど見かけなくなりました。このビル一棟を使って、新しいお店「F.I.L. GINZA」がオープンします。

変色した加飾タイルの外壁が目をひくこの建物は、元は油屋さんだったそう。当時としては、この規模の民間の建造物でコンクリート構造はとても珍しいものだったようで、今回の改修工事で現れたオリジナルの意匠には、素材に不慣れな職人たちが試行錯誤しながら手探りで施工していった様子が残っていました。杉天井など、一部に日本建築の技術が取り入れられているのもとてもユニークで面白いところです。

デザインを考える時に気をつけたのは、元々の建物が持つ魅力を引き出すように手を入れるということ。2、3階の床材や、3階の天井など、当時の素材はできるだけ残すように活用しています。窓枠は当時のデザインを忠実に復元したもの。これは、改修工事中に2階東側の壁の中から現れたオリジナルの窓を模して金属加工の職人に制作してもらいました。小さな空間ですが、当時の職人の仕事と今の職人の仕事がバランスよく調和した心地よいお店です。

古いものをただ保存するのではなく、必要に応じて手を入れて使いながら残してく。そんな風に歴史を引き継いでいけたら素敵だなと思っています。ご来店をお待ちしております。

F.I.L. GINZA

東京都中央区銀座1-20-17

03 3528 6500