Dissertation
BUYI / プイ族
主に中国貴州省の南西部に暮らす少数民族の一つである「プイ(BUYI)」族。いまでも古くから伝わる風俗習慣を残し生活する彼らの多くは、伝統的に農耕民族であり、主に稲や小麦、粟、とうもろこし、サトウキビなどを栽培し生計を立てています。
Category: | Material |
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Date: | 2020.03.24 |
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Tags: | #buyi #visvim #プイ族 |
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手織り生地
主に中国貴州省の南西部に暮らす少数民族の一つである「プイ(BUYI)」族。いまでも古くから伝わる風俗習慣を残し生活する彼らの多くは、伝統的に農耕民族であり、主に稲や小麦、粟、とうもろこし、サトウキビなどを栽培し生計を立てています。服飾品では民族衣装でみられる「ろうけつ染め」(模様部分を蝋で防染し藍などで染める染色法)や精緻な「刺繍」などがよく知られていますが、彼らは、その布や糸、染料の原料となる植物もすべて自分たちで育てています。そして、綿から糸を紡いで布を織り、「ろうけつ染め」や「藍染」「刺繍」などを施して祭儀品や生活用品を作ります。
今回、貴州省南西部の黔南布依族苗族自治州(Qiannan Buyi and Miao Autonomous Prefecture)に暮らす「プイ」族の人々に制作していただいた縞模様の生地も、古くから受け継がれる手織りや藍染めの技術により生まれたもの。手回しの糸車や手織り機など、使用する道具は手動の古いものばかりで、その工程は真にどこまでも手仕事によります。当然、生産量が極端に少ないため商用に出回ることはほとんどありません。田を耕し、種を撒きという植物を育てるところからの仕事と鑑みれば、長い時間と労力を費やして生まれたこの生地が、彼らにとってどんなにか貴重なものであることは想像に難くないでしょう。
こうした手紡ぎや手織りの文化は、いまでも各家庭の女性の仕事として受け継がれており、織り上げた生地は家族の普段着や寝具などの日用品のためだけでなく、伝統的な民族衣装などのためにも使用します。生活に根差した手仕事が織りなす生地は飾り気がなく素朴なものですが、時間をかけた丁寧な仕事は、大量生産品にはない温かみのある味わい深い表情をもたらします。それは、大切な家族の健康や安全を祈る暮らしの中で受け継がれてきた手仕事だからこそ持ちうるものなのかもしれません。
写真: エンジェル・チャン