Dissertation
Hand Drawing / 手描き
作り手の性格や個性が滲み出ているようなものはなぜ魅力的なのか?自分で作ったものはもちろんですが、カスタマイズされているものなど、人の手のクセが反映されているところに面白さがあるんです。
Category: | Processing |
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Date: | 2015.04.07 |
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Tags: | #handdrawing #visvim #京友禅 #手描き |
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作り手の性格や個性が滲み出ているようなものはなぜ魅力的なのか?自分で作ったものはもちろんですが、カスタマイズされているものなど、人の手のクセが反映されているところに面白さがあるんです。同じように見えてもひとつひとつ微妙に違う表情を持っていて、何とも言えない味がある。そういった奥行きのある商品を作り出せないだろうか?
手で描かれたものにはその人の個性が表れる。それがプライベートなメッセージであればなおさら。世界に一着だけの、自分のためだけに存在する服。1930-40年代のアメリカには、学校の卒業や転職、軍人の退役などの記念に、仲間から寄せ書きを集めて描きこんだカスタムジャケットやシャツ、Tシャツなどをプレゼントする習慣があったようです。当時のそれは今では非常に貴重なもので、ヴィンテージ・コレクターの間では「カンバセーショナル・ピース」なんて呼ばれたりします。
描かれているのは、自分の名前や落書きみたいなイラスト、離れてしまう友人、仲間に対する個人的なメッセージ。それは見ているだけでなんだか微笑ましく、当時の人たちがどんな思いでこれを書いていたのか、想像してみると心があたたまります。もちろん一人ひとり異なるクセがあるから、すごく表情豊かで楽しい。
僕らもこうしたウェアにインスピレーションを得て、日本の伝統的な「京友禅」の技法で、職人さんに色々なグラフィックを手書きで描きこんでもらった商品を作りました。中には僕の顔のイラストなんかもあったりします。実はこれは、僕の妻が描いた"落書き"みたいなもの。こうしたパーソナルな意味のあるものをコマーシャルなプロダクトの中に入れてみることで、人のテンダーな部分を表現できたら。そんな思いで実験的に作ってみました。人の心に最も響くのはやはり、ピュアなメッセージだと思うから。