Dissertation
Urushi-gawa / 漆革
漆革とは、主に鞣した鹿革に漆を塗り、小物や防具などの素材として用いる伝統工芸の一つ。皮革全体を漆で塗り固めたものや、型紙を用いて細かな模様を描いたものなど、様々な種類が存在する。
Category: | Processing |
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Date: | 2017.11.07 |
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Tags: | #urushigawa #visvim #漆革 |
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漆革とは、主に鞣した鹿革に漆を塗り、小物や防具などの素材として用いる伝統工芸の一つ。皮革全体を漆で塗り固めたものや、型紙を用いて細かな模様を描いたものなど、様々な種類が存在する。
漆革の歴史は古く、奈良時代にまで遡る。奈良県の三ツ塚古墳で発見された1,300年以上前の漆革のポシェットが最古のものといわれ、正倉院にも漆革の技法が施された宝物が数点所蔵されている。
漆革の中でも最高品質の素材とされるのが「キョン」と呼ばれる小型の鹿の皮を用いたもの。キョンはシカ科ホエジカ属に分類されるシカの一種で、世界最小種の鹿として知られている。
キョンの皮革は表面のキメがとても細かくやわらかなのが特徴で、セーム革として楽器やカメラレンズ、骨董品、刀剣などの手入れのほか、理美容用品の素材としても使われている。また、かつてはそのキメの細かさから水の濾過にも使われ、それが「漉」という字の語源となったという話も伝えられている。
古くから日本の毛皮革産地として栄えてきた奈良県宇陀市菟田野。なかでもキョン革の加工技術と品質は高く評価され、漆革(印伝)の原皮のほとんどは、いまなおこの土地で生産されている。この地で1955年に創業した株式会社春日では、原皮の輸入から鞣し加工、仕上げ加工までを一貫して行い、伝統の技術や処方を元にした質の高い皮革素材、製品が製造されている。