Dissertation
Washi paper / 和紙
ニューヨークの骨董商の友人から譲ってもらった使い捨ての「紙製ドレス」。1960年代にファッション・ノベルティとして作られたこのドレスは、大量生産・大量消費を背景に新しくシンセティックな素材が多く開発されたこの時代らしいもので、おそらく「毎日、新しい服を着る時代がやってくる」というような未来志向も込められた、実験的なアイテムだったんだと思います。
Category: | Material |
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Date: | 2017.02.28 |
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Tags: | #visvim #washipaper #和紙 #美濃和紙 |
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紙衣
ニューヨークの骨董商の友人から譲ってもらった使い捨ての「紙製ドレス」。1960年代にファッション・ノベルティとして作られたこのドレスは、大量生産・大量消費を背景に新しくシンセティックな素材が多く開発されたこの時代らしいもので、おそらく「毎日、新しい服を着る時代がやってくる」というような未来志向も込められた、実験的なアイテムだったんだと思います。
一方で、日本には古くから「紙衣(かみこ)」という、和紙を素材に使った着物がありました。厚く漉いた和紙を揉みやわらげ、その表面に蒟蒻糊や柿渋、寒天などを塗って防水加工を施し着物に仕立てたものです。江戸時代、綿や毛の織物は高級品でしたが、和紙の生産は全国に広がっており、風を通さず軽くて保温性に優れた紙衣は廉価な普段着として広く庶民の間で使われていました。
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大量生産によりモノが溢れた時代に生まれた紙の服と、素材が手に入りにくい時代に生まれた紙の着物。そのコントラストが面白くて、これをヒントに現代的な紙の衣服が作れないかと考え、2017年のコレクションでは手漉きの美濃和紙を使ったジャケットやスカートを作りました。模様は古くから紙衣で用いられてきた「型摺り染」という方法で染めてもらっています。
古くからある、忘れられた素材も、現代的な発想と技術で捉え直すことで新しい可能性が開けることもある。日々、実験を繰り返しています。
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